講演要旨

1日目 9月24日(土)

インクルージョン天文学 (Astronomy for Inclusion) *招待講演
アメリア・オルティス-ヒル(Amelia Ortiz-Gil スペイン・バレンシア天文台)

「ア・タッチ・オブ・ユニバース(宇宙にふれる)」プロジェクトなどを通じて、全ての人が天文学にふれることができるためにこれまで開発してきた教材について簡単にご紹介します。また、国際天文学連合のワーキンググループの活動についてもご説明いたします。

ICTによる障害のある児童生徒・学生への教育支援 *招待講演
近藤武夫(東京大学先端科学技術研究センター)

学習障害などの発達障害や視覚障害,聴覚障害,肢体不自由など,多様な障害のある子どもたちにICT(情報通信技術)利用を通じた教育機会への参加を支援する取り組みで得られた成果について発表します。

にこにこトマト できることは何でも~できないことも工夫して~ *招待講演
高谷恵美(京都大学医学部附属病院小児科病棟ボランティアグループ代表)

1995年2月に小さく始まったボランティアグループ「にこにこトマト」(にこトマ)の活動も、今は74名が登録し、ほぼ毎日活動しているグループへと大きくなりました。にこトマには毎日毎日笑顔があふれています。毎日のどの瞬間もワクワク楽しくて、そして時々ビッグなイベントを!という「楽しく豊かな時間」は、新しい世代の人たちによって続けられています。

国立天文台三鷹におけるユニバーサルデザインの取り組み
臼田-佐藤 功美子(国立天文台天文情報センター)

国立天文台三鷹では、「見学ガイド」点字・拡大文字版の制作などを行ってきました。現在は、3Dプリンタを使った模型作りや、スマートフォンでの音声ガイドの制作にとりくんでいます。国立天文台見学エリアでの取り組みについてご紹介いたします。

障害のある人がPCを操作するいろいろな方法
ー 安価にシンプルにできることを増やすには?

山口俊光(新潟大学)

PCやタブレット端末を障害のある人が使いこなすため、様々な方法が存在しています。この講演では、運動機能の障害がある人がPCやタブレット端末を操作する方法をご紹介します。天文教育に使える「技」もあるかもしれません。

音声による天文データ認識 ~科学データ音声化システムsplot~
宇野伸一郎(日本福祉大学)

宇宙科学データ音声化プロジェクトでは、科学データを音声化して視覚障害のある方と共有することを目指しています。今回は、様々なデータ(スペクトルや軌道要素の)の音声化とその認識率について報告します。

2日目 9月25日(日)

天文学分野をより深く理解するための多角的な普及活動
(Multimodal Outreach to Enrich the Field of Astronomy)
 *招待講演
ワンダ・ディアス-メルセッド(Wanda Diaz-Merced 南アフリカ・国際天文学連合・社会発展のための天文学推進室)

天文学のデータを多角的に解析するツールを開発しましたが、そのプロセスについてご紹介いたします。特に南アフリカ、アスローン盲学校にて、私達のプロジェクトを進めてきました。そこでは他の障害をあわせ持つ視覚障害者に、電波天文学のデータを解析する指導を行っています。このアプローチが、生徒たちが天文学の世界にふれるきっかけとしてどのような役割を担っているのかについても触れます。

太陽系外惑星探索の最前線 *招待講演
佐藤文衛(東京工業大学)

宇宙にはどのような惑星があるのか、太陽系は特別なのか、地球のような惑星はあるのか。そもそも、太陽系外惑星をどうやって見つけるのか。太陽系外惑星研究の最前線をご紹介します。

「障害の宇宙モデル」の提案に向けて 
ー無視覚は無資格だけど無死角なり!―
 *招待講演
広瀬浩二郎(国立民族学博物館)

今年8月、学習まんが『ルイ・ブライユ』(小学館)が刊行された。本書の表紙にはフランス国旗の触図が掲載されている。三色旗を触覚的にどう表現するのかについて、私(ストーリー協力者)とデザイナーの間で議論があった。このエピソードを手がかりとして、宇宙時代の近未来社会において、「障害」をどのようにとらえるべきなのか、みなさんとともに考えたい。

ロボットアームによる視覚障害者の仮想プラネタリウム構想
ーロボットアームにより光の世界のすべてを触知するー

長谷川貞夫(桜雲会ヘレンケラーシステムプロジェクト)・成松一郎(読書工房)

現在、米国製Geomagic Touchのロボットアームを用いて、国土地理院の全国の三次元地図データのうちの富士山を触知する実験を行なっている。最終的には、あらゆる光の現象を触知するようにしたいが、目前のこととして、プラネタリウム、実際の天球から始めてみたい。

触れる銀河の画像を使った視覚障害者向け天文学普及活動
(Astronomy Outreach for the Blind and Vision Impaired Using Tactile Galaxy Images)

ニコラス・ジーン・ボン(Nicolas Jean Bonne イギリス・ポーツマス大学)

宇宙論と重力研究所のアウトリーチチームが、視覚障害者が現在の天文学に興味を持ってもらうために、3Dプリンタを使ってさわれる銀河の画像の開発を行いました。銀河の形や大きさ、距離、組成をわかってもらうために、模型を使ってどのような説明を行っているのかご紹介します。

病院での天文教室
一星昌利(天文学普及プロジェクト 天プラ)

天文学普及プロジェクト「天プラ」の活動として行ってきた病院での普及活動について。昼間に行っている天文教室、夜に行っている観望会、それぞれの様子や感じたこと。今後の課題について。


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