光図
このサイトで見ていくように、天文学ではさまざまな光で宇宙を観測しています。では、宇宙のシグナルを私たちに運んでくる光とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。
私たちが理解している光の物理的な性質と、その光を基準として時空を考える相対性理論の基礎を取り上げ、138億年の宇宙の歴史と現在の私たちの、光を通じた結びつきを表現しようとしているのが、「光図」です。
2015年は、人類が光の本質を突き止める歴史の積み重ねを記念する国際光年(IYL2015)です。それに合わせて光をテーマに取り上げた科学ポスターが、「光図」です。「光で見、光で考える、光を見、光を考える」ことを主題とし、光を通じて私たちの住むこの宇宙に対する理解を深めることを目的に作成されたこのポスターは、国立天文台が企画、宇宙図2013や太陽系図2014などの科学ポスターの制作を担当した美術家の小阪淳氏を中心としたグループが制作を担当しました。公益財団法人 科学技術広報財団から販売されています。
[光で見る]
私たちが目で見ている「光」とは何でしょうか。人間の眼が可視光線を受けて色を見分ける仕組み、可視光線以外の電磁波の広がり、その速度など、光に関する基本情報をまとめています。
[光を見る]
光は、電磁波という波としての性質と、エネルギーの粒子としての性質を兼ね備えています。その正体はどのように解き明かされて来たのか、そして現在の量子論で説明される「素粒子」「場」の振る舞いとしての光子の性質を解説します。
[光で考える]
光は、どのような運動をしている観測者から見ても不変の速度で伝わります。この光が空間を伝わるのに掛かる時間は、見ている観測者によって変化する……。光をモノサシとして「時空」を考える相対性理論の世界を解説します。
[光を考える]
私たちが光について科学的に追究してきた内容がこのポスターにまとめられています。そうした科学的な理解も時代によって書き換えられるものです。光を考えることを通して、そうした科学の営みを考えます。
[光を描く/光で描く]
膨張を続ける宇宙の中で、私たちが見ている光はどのように伝わって来たのでしょうか。また、光を介して私たちは宇宙をどのように見ているのでしょうか。138億年前の誕生から現在までに光が辿った時空の旅路をグラフィカルに描き出します。
初版発行:2015年4月1日
著作及び販売元:公益財団法人 科学技術広報財団
企画:自然科学研究機構 国立天文台
制作:「光図」制作委員会(縣秀彦、小阪淳、片桐暁、高梨直紘)
監修:浅井祥仁(東京大学)
協力:天文学普及プロジェクト「天プラ」、梶谷真司(東京大学)、桑子研(共立女子中学高等学校)