重力がつくる光のリング
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); B. Saxton NRAO/AUI/NSF; NASA/ESA Hubble Space Telescope
「重力レンズ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
運動している物体に横から重力が働くと、その方向に物体が引き寄せられて進路が変わります。同じように、重力は光の進路も変えます。遠くに天体がありその手前に質量の大きい天体があると、遠くの天体からの光は、手前の天体の重力によって歪んだ空間を通ることで内側に曲げられ、まるで凸レンズを通して見るように、遠くの天体の姿が大きく明るく見えたり、リング状、あるいは円弧状にゆがんで見えたりすることが知られています。このように、重力が光にレンズのような効果を及ぼす現象を「重力レンズ」と呼びます。
ご紹介するのは、国際協力で建設された世界最大の電波望遠鏡である、チリのアルマ望遠鏡が撮影した銀河の姿です。SDP.81という遠方の銀河が、手前にある別の銀河の重力レンズによってゆがめられ、ほぼ完全な美しいリングとして見えています。