宇宙と光のこと ~天文学を読み解くヒント集~

光で月の凹凸を測る


国立天文台(データ処理・解析) 国土交通省 国土地理院(地形図作成) JAXA

光が往復するのにかかる時間を測ることで距離を測定する方法は、レーダーなどで日常的に使われています。この方法で、天体を調べることもできるのです。たとえば月や金星までの距離もそう。2007年から2009年まで活躍した日本の月周回衛星「かぐや(SELENE)」には、国立天文台の開発したレーザー高度計(LALT)が搭載されていました。月をめぐる軌道上の衛星から赤外線レーザーを射出し、月の表面で反射して返ってくるまでの往復時間を利用して、地形の標高を測定する機器です。この高度計で、「かぐや」は月の精密な凹凸をなぞり出しました。国立天文台が解析し、国土地理院によってまとめられた地形図は、月の南北の極域も含む初めての全球図です。

国立天文台では、この「かぐや」による月面地形図を、ペーパークラフトの月球儀にしました。起伏に富んだ月の表情を楽しんでください。

月周回衛星かぐやの測地データによる月球儀


2015.10.27