歴史的な光の記録
ガリレイの時代に天体望遠鏡を手にしてからしばらくの間は、天文学者は眼で視たものをスケッチに記録していました。19世紀に写真術が発明されると、星の光を直接焼き付けることで、より正確な記録と分析が可能になったのです。国立天文台でも、明治に入ってから西洋の機器を導入して写真観測が始まりました。国立天文台の古い資料の中には、100年以上前に撮影された古い写真が残っています。当時の写真は、乾板という、ガラス板に感光材を塗布したもので写されました。その中には、東京天文台の2代台長だった平山信が日本人として最初に小惑星「TOKIO」「NIPPON」を検出した1900年の写真乾板もありました。ネガとして焼き付けられた小惑星の姿は小さく淡いものですが、日本の天文学の黎明期の成果を伝える歴史的な記録です。現在の天文学では、観測データはデジタルデータとして記録され、日々膨大に蓄積されています。その一つ一つに、宇宙の真実が写り込んでいるのです。