宇宙と光のこと ~天文学を読み解くヒント集~

先端技術センター 藤井泰範 研究技師 インタビュー

謎解きと工夫が生んだ73台のアルマ望遠鏡バンド10受信機

私たちは、電波や可視光線・赤外線、その他様々な波長の電磁波を受信する受信機を用いて、天体からの情報を受け取っています。それまで天体の観測といえば可視光線によるものだけでしたが、1931年に行われた短波通信の実験で宇宙(銀河中心)からやってくる電波が初めて捉えられて以来、電波による天体の観測は大きく発展してきました。 同じ電磁波の仲間ですが、光とは受信の技術が大きく異なる電波の世界で長年受信機の開発に携わり、大変難しいと言われたアルマ望遠鏡のバンド10 *1受信機を完成させた先端技術センター 研究技師 *2の藤井泰範さんに、電波を扱う難しさや面白さ、開発の苦労、これからの取り組みなどについてお話をうかがいます。

最初のページ:
【はじめに】電波望遠鏡の基本的な仕組み

top | 1 | 2 | 3 | 4

*1.バンド10:アルマ望遠鏡では、観測する電波を10の周波数帯(バンド)に分け、それぞれに対応する専用の受信機を各国で開発しました。日本が分担したのは、バンド4(受信周波数 125~163 ギガヘルツ)、バンド8(385~500 ギガヘルツ)、バンド10(787~950 ギガヘルツ)の3種類です。66台あるすべてのアンテナに各バンドすべての受信機が搭載されています。受信機は、予備機を含めて73台ずつ作られました。

*2. 研究技師:天文学研究を技術面から支える技術系職員のうち、助教相当の研究教育職。


2015.12.14