先端技術センター 藤井泰範 研究技師 インタビュー [1/4]
インタビュー記事に入る前に、まず、電波望遠鏡の基本的な仕組みについて、藤井さんにうかがったお話を簡単にまとめておきましょう。
電波望遠鏡では、天体からの電波(観測信号)はパラボラアンテナで集められ、受信機の中にあるミクサという装置に入力されます。ミクサには人工的に作られた基準信号も同時に入力され、観測信号との差の周波数を持つ、扱いやすい周波数の信号(中間周波信号)に変換されます。基準信号を観測信号に応じて作り出すことによって、共通の中間周波信号にて特定の周波数の観測が可能になります。 電波望遠鏡では、ひとつのアンテナと受信機が、デジタルカメラでいうところの「1画素」にあたります。しかも、1画素が写しているのは、波長が長いこともあり光と比べると広い範囲です。つまり解像度が悪いということです。解像度の良い観測をするためには大きなアンテナを作る必要があるのですが、アルマ望遠鏡ではたくさんのアンテナからの信号を集め、「相関器」と呼ばれる計算機でそれぞれのアンテナが受信した信号を比較・合成することで、大きな一つのアンテナとして解像度の良い観測を行っています。(干渉計といいます)。