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周波数資源保護室の活動詳細

他業務との周波数共用検討

一般に電波を利用する業務は電波を発信する「能動業務」と呼ばれる業務が殆どですが、電波天文業務は電波を受信するだけの業務であり、電波を発信することはありません。このような業務を「受動業務」と呼びます。


電波の周波数帯域は限られているので、能動業務と受動業務が同じ周波数帯域を利用することもしばしばあります。複数の業務が同じ周波数帯域で周波数を利用できるかどうかについて、周波数共用検討が行われます。


周波数共用検討とは、その能動業務による他業務への干渉(=影響)程度の検討、および その能動業務による他業務への干渉を周波数共用が可能なまでどう回避(または、低減)させるかの検討です。


周波数資源保護室では、周波数共用検討の場において、日本全国の電波天文業務の観測維持のため活動しています。

(個々の案件については下記「最近の周波数共用検討事例」で概要をお伝えします。)
各種広報活動

電波天文研究推進の立場から、周波数管理の重要性を様々な場でお伝えしています。

<海外での発表>


<出版物での広報>
  • 国立天文台ニュース 2021年3月号「むりかぶし望遠鏡を用いたDarksat衛星の天文観測への影響調査」
  • Newton 2021年4月号「天文学者を悩ませる4万機の人工衛星」
  • 国立天文台ニュース 2020年5月号「美しい星空と高速インターネット通信の共存は可能か?」
  • 天文月報 2020年3月号「巨大通信衛星網による 天文観測への影響」

  • 最近の周波数共用検討事例

    (2021年7月現在)

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    6GHz帯における無線LAN(Wi-Fi)との共用検討について

    無線LANは、新型コロナウイルスの感染防止に伴うテレワーク、オンライン会議等の利用増加により今後もトラフィック需要増加が予想され、無線 LAN システムの高機能化及び使用周波数拡張への要望が挙がりました。 国際的動向も踏まえ、新たに6GHz帯(5925MHz~7125MHz)の電波を使用する無線LANシステムの国内導入について検討が開始されました。 今後、既存無線システムとの間でシミュレーション、実証試験を行い、その結果をもとに干渉防止機能など必要な技術的条件を取りまとめる方針です。

    6GHz帯では、電波天文において星間空間のメタノール(CH3OH)の分子が示す6.7GHzメーザーの観測が行われており、干渉を回避するための具体的な対策について協議・調整が必要です。

    (新規案件)

    第5世代移動通信(5G)携帯電話システムとの共用検討について

    日本における5G携帯電話システムに関する検討が行われました。WRC-19の議題1.13とも深く関連し、41-43.5 GHzが検討対象に含まれています。 42.5-43.5 GHzにある電波天文バンドとの共存のためには、35~45 kmの離隔距離が必要との結論となりました。

    2.3GHz 帯や 4.9GHz 帯での携帯電話システムとの共用検討については、 2020年12月より、2.3GHz 帯(2300-2400MHz の 100MHz)における、ダイナミック周波数共用方式による IMT サービスとの共用検討を開始しました。 公共業務との共用検討については、同一周波数帯域での最小離隔距離は、公共業務用無線局が与干渉・被干渉の場合どちらも約 100km を超え、共用は困難です。 隣接周波数帯域では、与干渉の場合、10MHz程度のガードバンドを設ければ干渉はほとんど起きないという結果になり、被干渉の場合も、様々な干渉軽減技術を用いることにより共用できる可能性があります。 技術的条件については、2330-2370MHz について今後策定します。
    4.9GHz 帯における他システム(一次業務)との共用検討については、離隔距離や5MHz 程度のガードバンドを設けることで検討可能なケースもあります。

      2021年4月より、楽天モバイルが提案しているスペースセルラーとの周波数共用検討が始まりました。 スペースセルラーとは、衛星を経由して地上の携帯電話を繋ぎ、山間部等でも携帯電話が利用できるようにするシステムで、衛星地上局と衛星間の送受信電波は電波天文バンドの隣接帯域または同じ帯域を用いることが想定されています。 7月にQ/Vバンドを用いるフィーダーリンクの周波数共用検討の結果が提示されましたが、衛星主ビームの方向や不要放射の制限値等共用の条件については明確に定める必要があります。

    (継続案件)

    UWB(Ultra Wide Band)レーダー 車載レーダーとの両立性検討について

    76 GHz 帯、79 GHz 帯は電波天文学にとって重要な周波数帯です。自動車による交通事故を減らす必要から、衝突防止用の車載レーダが開発されました。 その車載レーダと電波天文観測との両立を図るためには、(1)車載レーダの出力を可能な限り軽減すること、(2)野辺山宇宙電波観測所45 m 望遠鏡の周囲半径 2.5km程度を電波保護調整ゾーンとし、近づいた時は車載レーダの出力を自動的に抑えるようにすること、(3)野辺山宇宙電波観測所付近の道路に看板を立てること、など周知する対策が必要です。

    NRO Technical Report No. 75
    図1
    図2
    図3

    (継続案件)

    空間伝送型ワイヤレス電力伝送(WPT)システムとの両立性検討について

    電波で電力を伝送する空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの導入にあたり、既存の無線システムとの必要な技術的条件等の検討が行われてきました。 対象周波数は、920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯の3つの周波数です。 共用検討の結果として、WPTシステムを設置しない制限区域を設けることで、報告案が提出されました。 この報告書案は陸上無線通信委員会での承認後に情報通信審議会に上程され、2020年7月に一部答申が出されました。 しかしその際、既存無線システム等に与える影響の回避・軽減等のための運用調整の仕組構築に向けた基本的な在り方等を検討することが留意事項として付与されました。

    2020年12月、新たにWPT 運用調整検討会が発足し、運用調整のあり方について検討を開始しました。 WPT は屋内閉空間に限定して設置され運用調整が必要となるため免許を必要とする無線設備ですが、920MHz 帯を用いるもののうち出力 1W 以下のものは特定無線設備として無線従事者の配置が不要であり、 運用調整機能を主体的に担う組織の設置が望まれます。また、電波法上の優先度の位置づけ(一次業務、二次業務、あるいはRR4.4 相当)は未定であり、今後検討する必要があります。

    2021年夏頃の試験的導入に向けて2021年2月の会合では運用調整機構設置に向けた考え方が提示されましたが、 WPTの与干渉対策が十分ではありませんでした。そこで出た意見を踏まえ2021年3月の会合では、運用調整機構の中立性を担保することや既存無線システムの保護を全面に出す改訂案が提示されました。 また、有害干渉が生じた場合の通報窓口についても総務省で検討後に追記されます。

    今回WPT の配備を想定している場所は、工場、倉庫、倉庫型店舗、介護現場ですが、 そのうち介護現場では窓等の開口部が広く十分な壁減衰が得られない可能性があるため十分な配慮が必要です。 この点は、実際に運用調整等を行う中で設置者側での対応となるため、議事要旨に残し周知することとしました。

    総務省の募集したパブリックコメントに寄せられた意見のうち、アマチュア無線通信に対する電波干渉を懸念する意見に対しては、 WPT側は影響を回避するための技術的な調整を行うこと、総務省は免許申請の段階で混信防止の確保を含む申請内容の適切性を審査することで干渉回避が約束されました。

    WPTの導入にあたってはWPT側の公開情報を免許人が参照し連絡を取り合う等真摯な対応が不可欠です。今回の検討結果を周知徹底した上での実用化が期待されます。

    (2021年5月検討終了)

    60G帯無線設備との両立性検討について

    60GHz 帯については大気吸収により電波天文観測ができないため、60G帯無線設備からの影響は無いと考えられますが、 2 逓倍波の 114〜132GHz における 電波天文観測については影響があると考えています。 それを考慮した共用検討の結果、不要放射レベルを十分に抑え、隔離距離を設けることで共用することが可能となることがわかりました。

    2020年9月の会合で、電波天文観測への影響については不要放射レベルの限度値である-30dBm/MHzに対応する離隔距離は 76.5GHz で 26km、115GHz で 17.5km と報告されました。 一方、パルスが生成する不要放射レベルの理論値は限度値より低く、ロスがない場合、 76.5GHz で-51dBm/MHz、115GHz で-61dBm/MHz でした。 この場合の最小離隔距離は 500m 程度なので、天文台内で 60GHz システムの運用を禁止する措置を執れば電波天文観測への影響は生じないことが確認されました。 技術的要件として、電波の発射を停止できる機能を有することが求められました。
    報告書案については2021年1月の陸上無線通信委員会で報告され、パブリックコメントで広くご意見を伺った後、情報通信審議会に上程されました。
    総務省 パブリックコメント

    (2020年12月検討終了)

    UWB(Ultra Wide Band)無線システム屋外利用の周波数拡大における共用検討について

    UWB(7.25〜10.25GHz帯)無線システム屋外利用の周波数拡大等に向けた技術的条件に関する検討会が開催されました。 拡大する対象周波数は、6650-6675.2 MHzと10.6-10.68 GHzです。どちらの周波数についても、 電波天文との共用検討が行われました。その結果、使用エリア制限等の運用調整により両立可能という結果が得られました。

    2020年8月の会合では、UWB無線システムの運用制限にあたり国・事業者・被干渉側が執るべきことについて検討を行い、 被干渉側はその敷地内では運用停止を求めることが可能となりました。 混信防止のために電波の発射を停止する機能の実装を義務化することも新たに追記されます。 「電波の発射を停止する機能」については、利用者による停止操作や自動停止等「ユーザーによる操作」について明確に記載する方向でまとまりました。

    (2020年10月検討終了)

    2021年8月、UWB無線システムの屋外利用周波数の拡張について改正省令等が公示され、総務省電波利用ホームページに屋外利用時の運用制限の詳細について掲載が開始されました。 UWB無線システムが電波干渉を与える可能性のある国内施設、及び、UWB無線システムの無線装置が搭載された機器の停波方法等が掲載されています。 【総務省「UWB無線システムの屋外利用時の運用制限について」

    UWB無線システムとの共用システムの免許人が施設利用者へ注意喚起するための周知啓発用ポスターも準備されました。
    停波のお願いポスター

    (2021年9月)

    Ku/Ka帯における周波数共用検討

    衛星通信によって世界中にインターネット接続サービスを提供するためのスターリンク(Starlink)衛星群の打ち上げが始まり、最終的には総計12000基の衛星群から成る巨大通信衛星ネットワークを構築する計画があります。 この衛星群が完成すると、約200基の衛星が常時空に見えると予想され、実際に、米国では銀河の観測中にスターリンク衛星の光による多数の斜線が入った画像が取得されました。 国際天文学連合や世界の天文研究機関と足並みをそろえ、関連衛星事業者の方々と協力して解決策を図っていくことが重要と考えています。
    通信衛星群による天文観測への悪影響についての懸念表明 2019年7月9日

    通信衛星群への対応について検討するため、2019年に4回、2020年に6回の検討会が開かれました。 電波天文との両立性については、10.6-10.7GHz の電波天文バンドに隣接する 10.7-10.95GHz では、 電波天文アンテナ方向に電波を出さないという条件の下、epfd(等価電力フラックス密度) 閾値 -241dBW/m2 /100MHz として両立性を満たすか否かをモンテカルロ・シミュレーションによって実施した結果、 小金井局石岡局のいずれでもデータ損 2%を満たすという結果が得られました。
    検討会での報告書案はパブリックコメントで広くご意見を伺った後、情報通信技術分科会に報告されました。
    総務省 パブリックコメント

    (2020年10月検討終了)

    90GHz空港FODレーダーとの共用検討について

    2019年10月より、一般社団法人電波産業会ARIBにおいて、 92-100GHz帯を利用予定の空港面異物探知レーダー(90GHz帯FODレーダー、 FOD = Foreign Object Debris)に関する調査検討会が開催されてきました(空港FODレーダー調査検討会)。 当該周波数帯は電波天文に割当られている帯域で、隣接周波数帯86-92GHzでは電波天文受信設備が保護指定されている帯域のため干渉検討が実施されました。 今回、技術的な検討成果をまとめた報告書が提出され(2020年3月)、電波天文としては十分は干渉マージンを確保できる結果となっています。今後はこの報告書に基づき、 総務省における情報通信審議会並びに電波監理審議会において審議される予定です。

    (2020年2月検討終了)

    高速電力線搬送通信による短波帯電波天文への影響について

    短波帯を用いる広帯域電力線搬送通信設備(高速PLC)が市場に登場しましたが、あまり普及していません。 屋内に加え屋外PLCの更なる適用範囲の拡大も提案されており、電波天文との共用が検討されています。 しかし、現行の屋内PLCにおいては、屋外に強い漏洩を観測されており、現時点では電波天文との共存ができるとは言い難い状況です。 そこで総務省のパブリックコメントにて、電波天文として高速PLCに対する懸念を表明しています。
    総務省 パブリックコメント】

    (2020年2月検討終了)

    携帯電話の上空利用との共用検討について

    現在の携帯電話は原則として地上高1.5mでの利用を想定していますが、ドローンなどに搭載させて携帯電話を通信に用いたいという要望がありそれを踏まえた検討が行われてきました。 電波天文観測に影響が出る1.5GHz帯の携帯電話を除き、高度150m以下での上空利用が認められることとなりました。

    2019年の会合では、携帯電話の上空利用周波数帯としては、800M/900M/1.7G/2GHz帯に限定し、 電波天文バンドに干渉を与える可能性がある携帯電話帯域は除外されました。

    (2019年12月検討終了)

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