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周波数資源保護室


最近の活動

他業務との周波数共用検討状況

電波天文業務は電波を受信するだけの業務であり、電波を発信することはありません。このような業務を「受動業務」と呼びます。
しかしながら、一般に、電波を利用する業務は、電波を発信する「能動業務」と呼ばれる業務が殆どです。
電波の周波数帯域は限られているので、能動業務と受動業務が同じ周波数帯域を利用することもしばしばあります。複数の業務が同じ周波数帯域で周波数を利用できるかどうかについて、周波数共用検討と言う作業が行われます。
周波数資源保護室では、周波数共用検討の場に、日本全国の電波天文業務の観測維持のために参加しています。  

周波数共用検討とは、その能動業務による他業務への干渉(=影響)程度の検討、および その能動業務による他業務への干渉を周波数共用が可能なまでどう回避(または、低減)させるかの検討です。  

最近の検討状況について、簡単に報告します。

高速電力線搬送通信による短波帯電波天文への影響について
短波帯を用いる広帯域電力線搬送通信設備(高速PLC)が市場に登場したが、あまり普及していない。 屋内に加え屋外PLCの更なる適用範囲の拡大も提案されており、電波天文との共用検討がされている。 しかし、現行の屋内PLCにおいては、屋外に強い漏洩を観測されており、現時点では電波天文との共存ができるとは言い難い。 そこで総務省のパブリックコメントにて、電波天文として高速PLCに対する懸念を表明している。 総務省 パブリックコメント【案件番号:145209371】


空間伝送型ワイヤレス電力伝送(WPT)システムとの両立性検討について
電波で電力を伝送する空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの導入にあたり、既存の無線システムとの必要な技術的条件等の検討が行われている。 電波天文局との隔離距離についてもいくつか計算結果がでているが、まだ検討中である。


Ku/Ka帯における周波数共用検討
衛星通信によって世界中にインターネット接続サービスを提供するためのスターリンク(Starlink)衛星群の打ち上げが始まり、最終的には総計12000基の衛星群から成る巨大通信衛星ネットワークを構築する計画がある。 この衛星群が完成すると、約200基の衛星が常時空に見えると予想され、実際に、米国では銀河の観測中にスターリンク衛星の光による多数の斜線が入った画像が取得された。 国際天文学連合や世界の天文研究機関と足並みをそろえ、関連衛星事業者の方々と協力して解決策を図っていくことが重要であると考えている。 通信衛星群による天文観測への悪影響についての懸念表明2019年7月 9日


60G帯無線設備との両立性検討について
60GHz 帯については大気吸収により電波天文観測ができないため、60G帯無線設備からの影響は無いと考えているが、2 逓倍波の 114〜132GHz における 電波天文観測については影響があると考えている。それについて、現在共用検討を進めている。


UWBレーダー 車載レーダーとの両立性検討について
76 GHz 帯、79 GHz 帯は電波天文学にとって重要な周波数帯である。自動車による交通事故を減らしてゆく必要から、衝突防止用の車載レーダが開発された。 その車載レーダと電波天文観測との両立を図るためには、車載レーダの出力を可能な限り軽減する、野辺山宇宙電波観測所45 m 鏡の周囲半径 2.5kmくらいを電波保護調整ゾーンとし、近づいた時は、車載レーダの出力を自動的に抑えるようにする、また、野辺山宇宙電波観測所付近の道路に看板を立てるなどの周知をするなどの対策が必要である。

NRO Technical Report No. 75

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90GHz空港FODレーダーとの共用検討について
現在、一般社団法人電波産業会ARIBにおいて、92-100GHz帯を利用予定の空港面異物探知レーダー(90GHz帯FODレーダー、 FOD = Foreign Object Debris)に関する調査検討会が開催されている(空港FODレーダー調査検討会)。当該周波数帯は電波天文に割当られている帯域であり、また隣接周波数帯86-92GHzでは電波天文受信設備が保護指定されている帯域のため、共用検討が行われている。FODレーダーは、乗降客が多い空港を中心に配備される見込みである。



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