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光害(ひかりがい)とは

赤城山から東京方面

群馬県赤城山展望台より東京方面の眺望。
画面左(南西方向)にオリオン座と冬の大三角が見えていますが、最も明るい星であるシリウスが光害のために霞んでいます。


人工の光から生じる様々な問題を光害(ひかりがい)と称します。

都市化や交通網の発達等により屋外照明が増加し、照明の過剰な使用・不適切な使用が増えた結果、 眩しさ等の不快感、交通信号等の重要情報を認知する力の低下、野生動植物や農作物等への悪影響が生じています。また、 上空に向けて放射または上空へ漏れた光は、大気中の水分や塵等で拡散されて夜空の明るさを増大し、 天体観測においても障害となっています。

ページトップの画像は群馬県赤城山展望台から見た東京方面の夜空です(2020年12月撮影)。街並みの上空に黄色みがかった光芒が差し、肉眼で確認できるはずの星々が霞んでいます。


光害のない小笠原諸島母島の夜空と比較すると星の見え方にはっきりとした差があることがわかります。下の画像は母島の夜空と赤城山からの夜空です。
小笠原諸島母島の夜空 赤城の夜空

小笠原諸島母島の夜空(写真左)と赤城山展望台からの夜空(写真右)

(mobile表示:上が母島、下が赤城山)

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光害から天体観測を守る取り組み

光害対策

▶国内の動向 ▶国際的な動向


光害をなくすためには夜間に不要な光を出さなければ良いのですが、交通などの安全確保のためには必要最低限の明るさは確保しなければなりません。 そのためには、上空に漏れる光を減らす照明、低圧ナトリウム灯の利用、といった技術面からの取り組みだけではなく、人々に対する啓発活動や行政によるルール策定(条例制定)といった多方面からのアプローチが必要となります。


国内の動向

環境省では、専用のウェブページを設けて、星空観察を通じて光害や大気汚染などに気づき、環境保全の重要性について関心を深めるための啓発活動を行っています。 人工光の使用に伴い必要となる環境配慮のあり方についてまとめた「光害対策ガイドライン」も作成し公開しています。


自治体による条例としては、岡山県井原市の美しい星空を守る井原市光害防止条例や 群馬県高山村の光環境条例が知られています。 2020年1月に発表されたパナソニックの光害対策型LED防犯灯・道路灯は、日本のメーカーとして初めて国際ダークスカイ協会(IDA)に星空に優しい照明として認証され、 同年10月以降順次、美星町の星空保護のために設置されます。また、同年12月には岩崎電気製のLED道路灯とLED防犯灯が星空に優しい照明として認証されました。


屋外照明の取り扱い等で光害を効果的に削減し暗い夜空を保つ取り組みを国際ダークスカイ協会(IDA)に申請し「星空保護区」として認定される自治体もあります。 2018年に沖縄県西表石垣国立公園が日本で初めて星空保護区に認定され、2020年には、居住エリアを含む島全域で行われた光害対策が評価された東京都神津島が認定されました。 その他の自治体でも認定に向けた動きがあり、福井県大野市では、大学と連携しながら星空保全光害教育や夜空の明るさ調査、モデル灯の設置や広報活動等様々な活動を行い、大野市南六呂師地区の星空保護区認定を目指しています。


国際的な動向

国際天文学連合(IAU)は1973年に既に天体観測環境保全委員会を設置して関連情報提供や啓発活動を開始するとともに、国際照明委員会(CIE)と照明技術を踏まえた検討の協力体制を確立、IAUとCIEによる「夜空の明るさの抑制ガイドライン」、 「障害光抑制ガイドライン」が策定されています。
IAUの国際普及室 ( OAO:Office of Astronomy Outreach)“Dark and Quiet Skies Project” を進めることにより光害や電波干渉問題への人々の理解を深める活動を行っています。


2020年10月、社会一般に対して星の見える暗い夜空の大切さを伝え、光害や電波干渉から天文学や生態系を保護することを目的としたワークショップが、国連宇宙空間平和利用委員会 (COPUOS)と国際天文学連合 (IAU)により開催されました。 ワークショップの成果をまとめた報告書は国連総会に提出される予定で、国際的な調整へ向け準備が進んでいます。

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人工衛星の反射光から観測を守る

▶2019年 ▶2020年 ▶2021年

2019年

太陽光を反射させながら夜空を高速移動する人工衛星も天体観測に影響を及ぼします。 地球規模の通信ネットワークサービスを提供する目的で設計されたスターリンク衛星群は、総数4万2000基の打ち上げが予定されおり、 各衛星の本体と太陽電池パネルが可視光域と赤外線域で太陽光を反射して輝きます。そのため 日没後や日の出前の数時間は地上から明るい物体として確認でき、天体観測に大きな影響を与えることが懸念されています。


下の画像は長野県野辺山の夜空です。左上から右下に向かう飛跡はスターリンク衛星です。

スターリンク衛星の写る画像

Photo by Shogo Nagayama (C)NAOJ


2020年

スターリンク衛星群を所有・運用するSpaceX社は、衛星の明るさを軽減する施策を講ずることで天体観測との共存に向け調整を行っています。 黒い塗装を施したDarkSat(ダークサット)衛星、太陽光の反射軽減のための「日除け」を装備したVisorSat(バイザーサット)衛星の打ち上げが2020年より開始されました。


国立天文台は、人工衛星の塗装によって天体観測への影響がどの程度軽減されるか、2020年4月から6月にかけて実測による調査を実施しました。 石垣島天文台のむりかぶし望遠鏡は、天体の明るさを3つの色(波長帯)で同時に測定することができます。 塗装前後の変化を観測した結果、黒い塗装で表面の反射率が半分程度に抑えられること、塗装の有無によらず長い波長ほど明るく見える傾向にあることが、初めて明らかになりました。(米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』2020年12月7日発表)


一定の成果が見られたダークサットですが、ダークサットの黒い塗装は熱を帯びやすく周辺機器に影響が出ることや、熱を帯びた衛星は赤外線等を放射し地上からの観測では明るい物体として写りこむため、2020年8月以降はバイザーサットに切り替えて打ち上げが実施されています。


2021年

国立天文台は、バイザーサットの天体観測への影響についても、光赤外大学間連携 (OISTER) の協力を得て2021年2月より実測による調査を開始しました。

ダークサット バイザーサット

黒い塗装を施したダークサット衛星と、アンテナに太陽光が当たらないように「日除け」を装備したバイザーサット衛星

 credit:SpaceX 

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gallery

街灯や商業施設等から上方に向けて放たれた人工照明の光は宇宙からも確認できます。

下の画像(上)は人工衛星から撮影された夜の地球です。人口が多い大都市などがはっきり見えます。拡大すると日本列島の形も分かります。

夜の地球
credit:NASA
夜のアジア 夜の東京

夜の地球(アジア)(写真左)と夜の東京(写真右)credit:NASA

光害関連サイトへのリンク

  • 環境省「光害について」
  • 井原市光害防止条例
  • 高山村光環境条例
  • 福井県大野市の星空保全の取り組み
  • 国際ダークスカイ協会(IDA)
  • 星空保護区認定制度
  • 星空保護区
  • 星空保護区に認定された地域の世界地図
  • GLOBE at Night(国際ダークスカイ協会東京支部)
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