命名する恒星・惑星について
概要
日本に割り当てられた系外惑星系は、かんむり座の方向、距離410光年にある恒星HD 145457とそれを公転している巨大ガス惑星HD 145457 bです。
HD 145457 bは、2010年に国立天文台のすばる望遠鏡と岡山天体物理観測所(当時)188cm反射望遠鏡を用いて発見されました。
恒星・惑星の詳細
恒星:HD 145457
- 種類:K0型星(橙色巨星)
- 質量:太陽質量の1.9倍
- 太陽系からの距離:410光年
- 天球上の位置:かんむり座(Corona Borealis)
- 見かけの等級:6.57等
惑星:HD 145457 b
- 種類:巨大ガス惑星
- 質量:木星質量の2.23倍
- 半径:木星半径の1.19倍(推定)
- 軌道半径:0.76天文単位
- 公転周期:176.3日
- 軌道離心率:0.11
- 発見年:2010年
- 発見方法:視線速度法(Radial Velocity)
発見した研究者からのメッセージ
佐藤文衛
(東京工業大学 准教授)
この惑星系は、すばる望遠鏡と岡山天体物理観測所188cm反射望遠鏡を使って発見した惑星系です。発見方法は視線速度法で、惑星をもつ恒星の視線速度のゆらぎを捉えることによって発見しました。まず、すばる望遠鏡の大口径を生かして数百個の恒星をそれぞれ3回ずつ観測し、その中から惑星をもっていそうな恒星、つまり視線速度が有意に変化している恒星を選び出しました。その後、これらの恒星を188cm反射望遠鏡を使って2年間継続観測し、視線速度変化が周期的であることや振幅が一定であること等を確認しました。このような一連の観測によって、HD145457系が確かに惑星系であることを確認しました。
すばる望遠鏡は競争倍率が高く観測夜数が限られますが、口径が大きいので短時間にたくさんの天体を観測することができます。一方、188cm反射望遠鏡の口径は小さいのですが、長期間に渡ってたくさんの観測夜数を確保することができます。HD145457系の発見は、このように2つの望遠鏡のそれぞれの強みを生かすことによってなされたものです。