アルマ望遠鏡2基と金星
アルマ望遠鏡アンテナと金星 © ALMA ( ESO/ NAOJ/ NRAO)

電波天文観測と天文観測を継続するために知っておきたい用語集

空の見え方

用語 意味
日周運動 地球が1日に1回、西から東に自転していることによって、空(天球)が、北極と南極を結ぶ軸を中心に東から西にほぼ1日に1回転するように見える現象を日周運動といいます。 天体観測では、望遠鏡の方向を常に動かして日周運動によって移動する天体を追尾しながら観測を行なっています。【図1】参照
日周運動
【図1】星の日周運動(イメージ)

電波望遠鏡

用語 意味
電波望遠鏡 電波望遠鏡は、市販されている望遠鏡とは異なり、天体からの電波を集めて分析する装置です。 電波望遠鏡は、目に見えない電波を集めるパラボラアンテナ、電波を電気信号に変える受信機、そして電気信号を分析する分光器からなります。 電波望遠鏡は、宇宙からの微弱な電波を受信するために非常に精密に造られています。 パラボラアンテナの表面は、理想的なパラボラからのずれの大きさを観測する波長の1/20以下に保たなければならず、 重力による変形や、風や温度差による変形も最小限に抑え、少しの歪みも精密に計測して微調整を行うよう設計されています。
ノイズ
(雑音)
雑音(ノイズ)とは、通信システムに常に存在する不要な信号として定義できます。一般に雑音は位相や周波数が無関係に、かつ不規則に発生するものからなり、大変激しく変動します。(F.R.コナー「ノイズ入門」より)。 ノイズは電波望遠鏡の受信感度を落としたり、受信を妨げることもあります。雑音を大別すると、雷や目的天体以外の天体からの電波などの自然雑音と、電気機器や通信機器などから発生する人工雑音があります。 電波望遠鏡を構成する受信機なども雑音を発生させます。 したがって、特に受信機からのノイズを低く抑えることが高感度な観測のための必須条件であり、超伝導技術を活用した非常にノイズの低い受信機が開発され、望遠鏡に搭載されています。
パラボラ
アンテナ
アンテナのうち、回転放物面(パラボロイド)を用いて電波を送受信するものがパラボラアンテナです。 電波の波長がセンチメートル波より短くなると、主にパラボラアンテナを使って電波を送受信します。 回転放物面という性質から、平行な波面をほぼ1点に収束でき、開口面から放射された電波は平面波(位相が揃った波)として伝搬されます。 パラボラアンテナは下図のように鋭い指向性を持ち、特定の方向に、他のアンテナよりも効果的にエネルギーを放射します。 アンテナから出るビームには、1つの主ローブ(メインローブ)と複数の小さなローブ(サイドローブ)が存在します。
メインローブ アンテナの電波ビームパターンのうち、対象方向に向いた最も大きなビームをメインローブといいます。主ビームともいいます。
サイドローブ アンテナの電波ビームパターンのうち、メインローブ(主ビーム)の外側にできる、同心円状または局所的に感度が高まっている部分をサイドローブといいます。 メインローブで受信した電波とサイドローブで受信した電波とは区別がつかないので、 広がった天体や込み入った天体群を観測する場合、正確な天体観測結果を導くためにはサイドローブの感度レベルが低いことが重要です。
バックローブ サイドローブの中で、主ビームの反対側に出るものをバックローブといいます。
ゲイン
(利得)
ゲインは増幅器に入力された信号と出力された信号の値の対比によって求められ、単位はデシベル(dB)で表されます。 アンテナのゲインは、基準とするアンテナの電力ゲインに対する、そのアンテナの特定の方向における電力ゲインの比率です。 電波望遠鏡は主ビームのゲインが非常に高く、狙った方向の微弱な宇宙電波を受信することが可能です。
干渉計 複数の電波望遠鏡を離して配置し、受信された電波を干渉させることで実効的に高い分解能を得る観測方法です。 複数の電波望遠鏡で電波天体から同時刻に出た波面の電波は望遠鏡毎に到達時間が異なるので、その到達時間を補正することによって干渉信号を得ます。 たくさんの干渉信号をコンピュータ内で処理(フーリエ変換)することによって天体画像が得られます。
メインローブ、サイドローブ、バックローブ
【図2】電波望遠鏡の電波ビームのパターン(イメージ) © NAOJ

電波天文学・電波・周波数

用語 意味
電波天文学 電波天文学は、太陽や惑星、星々の間に存在する星間物質や遠方の銀河など、さまざまな天体からの電波を観測して宇宙を研究する学問です。 電波天文学では、電波強度はJy(ジャンスキー、1 Jy = 10-26 W/m2/Hz )という単位を用いて表します。 1Jy の電波強度の天体は、電波天文学が対象とする天体の中では非常に電波が強い天体であり、最先端の研究ではµJyレベルの天体を観測しています。
電磁波 光速度で空間を伝わる電場と磁場の周期的変動の波が電磁波です。 周波数あるいは波長で区分され、波長の長い(周波数の低い)方から順番に、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線と呼ばれます。【図3】参照
電波 電磁波のうち、波長が最も長く(周波数が低く)波長0.1ミリメートル以上(周波数 3000 GHz以下)のものを電波と呼びます。 波長によって、メートル波、センチメートル波、ミリ波、サブミリ波などと分類されます。
マイクロ波 電波のうち、波長が1メートル以下のものをマイクロ波と呼びます。マイクロ波の周波数帯には特別な名前がつけられています。IEEE(米国電気電子学会:Institute of Electrical and Electronic Engineers)による分類の一例では、 26 - 75GHzの帯域をKaバンド、Vバンドに分類していますが、他の分類方式ではそのうちの35 GHz - 50 GHzの帯域をQバンドと呼んでいます。【図4】参照
波長 波の1周期分の長さを波長といいます。周波数の関係は以下の式の通りです。(波長)×(周波数)=(光速度:真空中で秒速約30万キロメートル) 【図3】参照
Hz
(ヘルツ)
周期的な現象の頻度を表す単位で、1秒あたりの生起回数(毎秒何回起きるか)を示したものがヘルツです。1 Hzは毎秒1回を意味し、周波数や振動数の単位として用いられています。
スペクトル 電磁波の波長あるいは周波数をごとの強度分布をスペクトルといいます。 電磁波をプリズムや回折格子などの分散素子に通して得られます。このように電磁波をスペクトルに分けることを分光といいます。 電磁波の強度が波長に対してなめらかに変化するものは連続スペクトルといいます。 これに対し、特定の波長や周波数でのみ強度を持つものは線スペクトルと呼びます。 スペクトル線の波長から、どのような原子・分子が存在するかも知ることができ(スペクトルの同定)、スペクトルは発光源の物理状態や元素組成を知る上で極めて重要です。
電磁波と波長の関係
【図3】電磁波と波長

マイクロ波の周波数帯域
【図4】マイクロ波の周波数帯域呼称(一例)

主な用途については、総務省「我が国の電波の使用状況」  使用状況の詳細(令和5年3月1日現在)参照

電波の管理

用語 意味
国際電気通信連合(International Telecommunication Union: ITU) 国際連合の専門機関の一つとして、電気通信の良好な運用により諸国民の間の平和的関係及び国際協力並びに経済的及び社会的発展を円滑にする目的をもって設立された組織です。 ITUの中で無線通信を管轄するのが、無線通信部門(ITU-R)です。 的な周波数割当は、ITU-Rが開催する世界無線通信会議(World Radiocommunication Conference: WRC)で改訂される無線通信規則(ITU Radio Regulations: RR)によって定められます。
総務省 総務省は情報通信に関わる諸制度の主管庁です。電波利用については国際戦略局、情報流通行政局と総合通信基盤局が担当しています。 国内の能動業務と受動業務の干渉検討については、総務省内の関連業務担当部署が審議会・作業班を開催し調整を図っています。 また、「総務省電波利用ホームページ」において、電波環境、電波監視、周波数割当等の業務が公開されています。
周波数割当計画 「周波数割当計画」は、電波法第26条第1項の規定に基づき、総務大臣が作成し公表する「割り当てることが可能である周波数の表」です。(周波数割当表あるいは国内分配表とも呼ばれます。) 表に記載されているものに加え、脚注によって割当てや制限等を記載するものもあり、これら全体が周波数割当て計画になります。 その内容は官報で告示されるとともに、総務省総合通信基盤局、総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む。)及び総務省のウェブサイトにおいて公開されています。
≫ 周波数割当計画
一次分配・二次分配、一次業務・二次業務 周波数割当計画において、優先順位の高い順に一次分配と二次分配があります。 一次分配を受けて行う無線業務が一次業務、二次分配を受けて行うものが二次業務になります。 一次業務が高い優先順位を持ち、二次業務は一次業務に電波干渉を与えることはできず、また一次業務から電波干渉を受けても許容しなくてはなりません。
受動業務・能動業務 周波数を利用する事業は国際条約である国際電気通信連合条約では「業務」と呼ばれます。 電波を送受信する業務を「能動業務」、電波の受信のみの業務を「受動業務」と呼びます。 電波天文は受信のみの業務なので「受動業務」です。
電波天文バンド 周波数割当計画で電波天文に割り当てられた帯域を「電波天文バンド」と呼びます。 電波天文バンドでは、他の電波利用からの保護を求めることが法的に可能です。 実際の観測は、研究内容により電波天文バンド以外の周波数帯でも行われています。
電波天文業務受信設備指定 総務省では電波法第56条第1項に基づき、電波天文業務の用に供する受信設備を指定し、これら受信設備の運用が阻害されないよう措置しています。 電波天文業務の受信設備を有する者は、総務省に対し指定申請を行い、受理されれば、保護対象の観測帯域については周囲からの発射電波から優先的に保護されます。 また、受信設備指定された電波望遠鏡については、総務省が国際電気通信連合に通告することにより世界各国にその存在を公式に示す効果が得られます。
電波干渉 一般に、無線電波を発生する無線機器や電気設備などからの電波が他の無線機器に混信影響を与える現象を、電波干渉と呼びます。 受信のみの業務である電波天文業務は他の業務に電波干渉を与えることはありませんが、他の業務から電波干渉を受けることがあります。 電波天文観測中に電波干渉が起こると、宇宙からの微弱な電波をかき消されて受信できない、または宇宙からの電波と干渉波が区別できない等の問題が生じます。
被干渉・与干渉 干渉を与えることを「与干渉」、受けることを「被干渉」といいます。
ガードバンド ある電波利用が隣接する他の電波利用への電波干渉を防ぐため、電波を出す側に割り当てられている周波数帯域内の隣接する側に設け、使わないようにした帯域を「ガードバンド」と呼びます。
保護基準 電波利用の際には、お互いに混信を起こさないようにしなければなりません。 何をもって混信とみなすのかは業務ごとに異なりますが、業務ごとの基準を保護基準といいます。 電波天文業務の保護基準は、国際電気通信連合無線通信部門の勧告であるRecommendations ITU-R RA.769と1513が用いられます。
共用検討 既存無線業務と同じ周波数帯域へ新規能動業務が参入し、既存無線業務への干渉が想定された場合は、 電波干渉の影響についてITU-Rで定められた方法に基づき、能動業務の電波発射に対する場所的、時間的制限や、出力レベル等の制限が検討されます。 検討の際は、干渉の度合いを算出する「干渉計算」において、電波を発射するアンテナの特性や、発射源から電波望遠鏡までの距離に依存して電波が減衰する量(自由空間減衰)、 地形による回折などで減衰する量などを考慮し、既存無線業務に影響を与えない出力基準や離隔距離などの技術要件を定めます。
パブリックコメント 省庁が規制の設定又は改廃等にあたり、政省令等の案を公表し、この案に対して国民から提出された意見・情報を考慮して意思決定を行う手続きです。 電波使用に関する案件は主管庁である総務省がパブリックコメントを募集します。

電波関連法規

用語 意味
電波法 電波利用についての日本国内の基本法です。電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって公共の福祉を増進することを目的とします。 電波の利用は、放送、電気通信、運輸、漁業、気象、防災、治安、電力など広範な分野に及び、 電波法は、無線設備に関する対物的規制、 無線従事者に関する対人的規制、無線局の運用に関する規制、異議申立ておよび訴訟、電波監理審議会の設置、罰則などについて規定しています。 電波法には、その下部規定として、電波法施行令、電波法施行規則、無線設備規則があります。電波法の改正には国会審議が必要ですが、電波法施行令以下の規定は総務大臣の権限により改正されます。
電波法第56条第1項 電波法56条は混信等の防止について定めています。
(混信等の防止)第五十六条  
無線局は、他の無線局又は電波天文業務(宇宙から発する電波の受信を基礎とする天文学のための当該電波の受信の業務をいう。) の用に供する受信設備、その他の総務省令で定める受信設備(無線局のものを除く。)で総務大臣が指定するものにその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。 但し、第五十二条第一号から第四号までに掲げる通信については、この限りでない。(第二項以下略)
無線通信規則(ITU Radio Regulations : RR) 無線通信規則(ITU Radio Regulations)は、批准各国に対する拘束力を有する国際文書(国際条約)です。 有限かつ稀少な電波資源を各国が公平に利用できるようにするため、国際連合の専門機関の一つである国際電気通信連合が、周波数分配をはじめとする各国が遵守すべき国際ルールである無線通信規則を定めています。 RRの第29条は電波天文業務の特殊性に言及し、また特段の配慮が必要であることが記載されています。
国内脚注J36と国際脚注5.149 無線通信規則RR脚注5.149により、各国の電波管理に関する主管庁に、電波天文業務に対する国際的な配慮が要請されています。 これを受け総務省では周波数割当計画の国内脚注J36 に以下を記載し配慮しています。
【国内脚注J36】
「13360-13410kHz,25550-25670kHz …(以下周波数略)…の使用は,電波天文業務を有害な混信から保護するための実行可能なすべての措置を執らなければならない。 宇宙局又は航空機上の局からの発射は,電波天文業務に対する著しく重大な混信源となり得る(無線通信規則第4.5号及び第4.6号並びに第29条参照)」
【RR脚注5.149】
「In making assignments to stations of other services to which the bands: (周波数略)… are allocated, administrations are urged to take all practicable steps to protect the radio astronomy service from harmful interference. Emissions from spaceborne or airborne stations can be particularly serious sources of interference to the radio astronomy service. 」
この他にも、特定の周波数及び特定の業務に対して、電波天文業務への配慮を促す脚注が多数あります。

光害

用語 意味
光害
(ひかりがい)
照明や光を発するものの設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起こるさまざまな影響を光害といいます。 人工照明から出る光が上方向に漏れることで夜空の明るさが増加し星が見えにくくなるため、研究・教育活動としておこなわれる天文観察にも影響が生じています。 この他、人間を含む動植物の概日リズム(体内時計)にも悪影響を及ぼす可能性があります。
漏れ光 照明器具等から照射される光のうち、その目的とする照明対象範囲の外に照射される光のことを漏れ光といいます。光害防止のためには、漏れ光が少ない照明方法を選択することが望まれます。
障害光 漏れ光のうち、光の量、光の方向、またはその両者により、人の活動や動植物などに悪影響を及ぼす光を障害光といいます。
上方光束 照明器具等から照射される光のうち、水平より上方へ向かう光束を上方光束といいます。【図6】参照
上方光束
【図6】上方光束と漏れ光
用語 意味
夜空の明るさ 「夜空の明るさ」とは、地上から大気を通して星を観測する際の背景の明るさ(輝度)のことをいいます。 星を観測する場合、背景の輝度が低いほど、観測条件が良いといえます。 「夜空の明るさ」が自然光に対して相対的に大きい状況が地域的に発生していることは、その地域に光害が発生しているということです。
星の明るさ 星の明るさを示す単位のひとつが、「等級」です。数字が小さいほど明るく、0等級より明るい天体はマイナスの数字で表します。 恒星の中で最も明るい「おおいぬ座」のシリウスは、マイナス1.44等級、「こと座」のベガは0.03等級です。理想的な暗い夜空で、肉眼で見える限界の暗さの星が6等級です。 明るさが100倍異なる場合に等級の違いが5等級となるように定義されており、1等級の違いが明るさではおよそ2.5倍に相当します。
mag/arcsec2
( 夜空の明るさを示す単位 )
天頂付近で星が存在しない背景の明るさ(等級、mag)を単位平方秒角あたり(arcsec2)で示したものです。 値が大きいほど夜空が暗く星が見えやすいことを示しています。理想的な自然の空の暗さが21.6 mag/arcsec2であり、背景の明るさと星の見えるおおよそのレベルについては次の通りです。
19〜20 mag/arcsec2: 郊外の暗さ。天の川が見え始める
18〜19 mag/arcsec2: 住宅地の明るさ。星座の形がよく分かる
17〜18 mag/arcsec2: 市街地の明るさ。星座の形が分かり始める
17 mag/arcsec2未満: 都市部の明るさ。星はほとんど見られない
ボートル
スケール
天文家ジョン・E.ボートルによって提案された、夜空の明るさを評価するための9段階の明るさの尺度。 最も暗い夜空であるクラス1から、明るい都心部のクラス9まで夜空の明るさが設定されています。
クラス 1 (Excellent dark-sky site): 理想的な真暗闇の空
クラス 2 (Typical truly dark site): 代表的な真に空が暗い場所
クラス 3 (Rural sky):田舎の空 
クラス 4 (Rural/suburban transition): 田舎と郊外の境
クラス 5 (Suburban sky): 郊外の空
クラス 6 (Bright suburban sky): 明るい郊外の空
クラス 7 (Suburban/urban transition): 郊外と市部の境
クラス 8 (City sky): 都市の空
クラス 9 (Inner-city sky): 都心の空
光害マップ 人工衛星から撮影された画像を元に作成された、夜の地球の明るさを表す地図を光害マップといいます。東京周辺の光害マップはこちらです。 ▶光害マップ
色温度 光の色を定量的に表現する尺度であり、物体が発している光の色を黒体放射で近似した場合に、その黒体の絶対温度を色温度と呼びます。 太陽光の色温度はおよそ6000ケルビンで、より赤っぽい光は色温度が小さく、青っぽい光は色温度が大きくなります。 色温度が大きい(青っぽい)光は大気中で強く散乱されるため、光害がより広範囲に及びます。このため、光害を抑えるためには色温度の低い照明が適しています。
絶対温度
(ケルビン)
個々の物質の特性に依存しない方法で定義した温度が絶対温度です。(単位はケルビン(K))。天文学での温度は絶対温度を表します。原子や分子の熱運動がゼロとなる温度を0 Kと定義し、摂氏温度への換算は次の通りです。
0 K = - 273.15 ℃
黒体放射 物質から発せられる電磁波は熱放射によるものだけではなく、通常反射波も含みます。 熱放射のみを考えるために、光を全て吸収し反射しない理想的な物体を「黒体」と定義し、黒体のよる熱放射を黒体放射と呼びます。 黒体は温度が高くなるほど波長の短い電磁波を多く放射します。
低圧ナトリウム灯 波長589 nmのナトリウムのアーク放電の発光を利用する熱陰極放電ランプです。 オレンジ色の光を出す、色温度の低い照明の一つです。
LEDランプ 発光ダイオード(light emitting diode: LED)と呼ばれる半導体を使ったランプです。 白熱電球などに比べて消費電力が小さく発光効率が高いことが特徴です。青色発光ダイオードの実用化によって白色光を出せるようになったことで、照明用途としても広く普及しています。 寿命が長いなどの利点もありますが、白色LEDランプは色温度の高い青い光を強く出すため、上方光束が大きい場合には広範囲に光害を及ぼす可能性があります。
光害対策型LED防犯灯・道路灯 国際ダークスカイ協会(以下、IDA)による「星空に優しい照明(Dark Sky Friendly Lighting)」の認証を取得した「IDA認証照明器具」です。 グレア(眩しさ)を必要最小限に抑えつつ、星空を見えにくくする上方光束への光の漏れが一切ないこと(上方光束率 0 %)、 青色光が少ない電球色となる3000 K(ケルビン)以下の色温度である基準を満たしています。

その他の関連用語

用語 意味
人工衛星 地球を周回する軌道上に存在する人工物です。 赤道上の高度36,000 kmにあって地球から見て常に同じ位置にある静止衛星や、高度2,000 km以下の軌道を持つ低軌道衛星など、さまざまな種類があります。 近年では、「メガコンステレーション(巨大通信衛星網)」と呼ばれる巨大な衛星ネットワークを構築する衛星群の打ち上げが進んでおり、日の入り後や日の出前には衛星が太陽光を反射するため、 地上から肉眼で確認できることもあります。メガコンステレーションは多数の企業が参入を表明しており、その衛星総数は数万機を超えるため、衛星の反射光による天体観測への影響が懸念されています。