分光宇宙アルバム

著者:泉浦秀行

この連載企画で読者のみなさんに紹介したかったこと

太陽以外の恒星の周りには、太陽系のように惑星が巡っているのだろうか?巡っているとしたら、どんな特徴を持った惑星だろうか?...未知の世界に想像を巡らせるのは楽しいことですが、それを観測で確かめようと思い立った途端、多くの技術的困難が立ちはだかります。明るく重い天体(恒星)のまわりに、とても暗く軽い天体(惑星)を探すのは容易なことではありません。

記事では、それを現実のものとしてたぐり寄せた分光研究の過程をご紹介したいと思いました。岡山天体物理観測所では今も、G型巨星と呼ばれる一群の恒星における惑星探索が集中的に進められています。それら恒星のスペクトルを精密に測定し、スペクトル線の波長変化から視線速度変化を知り、直接は見えない伴天体を見つける手法が使われています。岡山における高分散分光観測の環境整備を続ける関連研究者の熱意、精密なコンピューターモデリングを成し遂げる精神力、地道な観測を粛々と続ける忍耐力の賜物です。

現在の研究とこれから研究してみたいこと

今は、系外惑星の探索能力向上を目指した188cm望遠鏡の改修作業に取り組んでいます。それを終えたら、今度は本業の低温度星の分野で、高分散分光観測をベースにした研究を進めたいと考えています。特に、稠密かつ長期的な分光観測が必要とされる研究テーマを掘り起こして取り組むことができたら、この上なく嬉しいだろうと思っています。

著者データ

氏名
泉浦秀行
所属
岡山天体物理観測所
職名
准教授
専門分野
恒星物理学、銀河系天文学

* 2013年3月現在